はじめに
前回は、型推論による変数の宣言方法やコメントの書き方について説明しました。
今回は、複数のデータをひとまとめにして扱える配列変数ついて学びます。
※今回は1次元配列について説明し、次回は多次元配列について説明する予定です。
目次
配列変数とは
配列変数は単に配列とも呼びます。
これまでに学んだ変数は、1つの値を格納できました。
これに対して配列は、1つの変数で複数の値を管理できるという特徴があります。
ポイント
配列は1つの箱に、複数の「しきり」がついているものをイメージすると分かりやすいでしょう。
1次元配列
配列には次元数があります。1次元配列は先ほど説明した通り、1つの箱に仕切りがついたイメージです。
1次元以上の配列もあるのですが、それについては次回説明します。
C#における1次元配列は以下の書式で宣言をします。
C#における1次元配列の宣言
型名[] 変数名;
ただし、配列変数は上記のように宣言しただけでは使用できず、実体化する必要があります(実体化については、「クラス」の記事で説明する予定です)。
実体化をするにはキーワードnewを使用します。
実際には以下のような書式で、宣言と実体化を1度に行います。
C#における1次元配列の宣言と実体化
型名[] 変数名 = new 型名[要素数];
書式中にある要素数というのは、配列に格納したいデータの数のことです。ちなみに、単に「要素」と言った場合は配列に入っているデータのことを指します。
例えば、int型の1次元配列で5個の値を扱いたい場合は以下のように書きます。
C#における1次元配列の宣言と実体化の例
int[] data = new int[5];
それぞれの言語での例を以下に示します。
VB.NETによる1次元配列の宣言
VB.NETの場合は newキーワードは不要です。また5個のデータを扱いたい場合は、()の中に要素数から1を引いた値を指定します。
Dim data(4) As Integer
Javaによる1次元配列の宣言
Javaの場合はC#と同様に宣言をします。
int[] data = new int[5];
Swiftによる1次元配列の宣言
Swiftは要素数を指定せずに宣言をします。
var data: [Int] = []
1次元配列にデータを代入する
1次元配列の宣言方法を理解したら、データを代入してみましょう。
配列への値の代入は、要素番号(インデックスともいいます)を指定して1つずつ行います。要素番号は0から数えるため、5個のデータを扱う配列は0〜4までの要素番号で指定します。
代入の書式を以下に示します。
1次元配列への代入
変数名[要素番号] = 代入する値;
代入例を以下に示します。
C#における配列への代入例
int[] data = new int[5]; data[0] = 5; data[1] = 4; data[2] = 3; data[3] = 2; data[4] = 1;
VB.NETにおける配列への代入例
Dim data(4) As Integer data(0) = 5 data(1) = 4 data(2) = 3 data(3) = 2 data(4) = 1
Javaにおける配列への代入例
int[] data = new int[5]; data[0] = 5; data[1] = 4; data[2] = 3; data[3] = 2; data[4] = 1;
Swiftにおける配列への代入例
var data: [Int] = [] data.append(5) data.append(4) data.append(3) data.append(2) data.append(1)
1次元配列の値の参照
1次元配列に格納されている値は、要素番号を指定して参照することができます。
以下に、配列の各要素をコンソールに表示するコード例を示します。
C#における1次元配列の各要素の参照
int[] data = new int[5]; data[0] = 5; data[1] = 4; data[2] = 3; data[3] = 2; data[4] = 1; // Console.WriteLineを使用して、各要素を表示 Console.WriteLine(data[0]); Console.WriteLine(data[1]); Console.WriteLine(data[2]); Console.WriteLine(data[3]); Console.WriteLine(data[4]);
VB.NETにおける1次元配列の各要素の参照
Dim data(4) As Integer data(0) = 5 data(1) = 4 data(2) = 3 data(3) = 2 data(4) = 1 ' Console.WriteLineを使用して、各要素を表示 Console.WriteLine(data(0)) Console.WriteLine(data(1)) Console.WriteLine(data(2)) Console.WriteLine(data(3)) Console.WriteLine(data(4))
Javaにおける1次元配列の各要素の参照
int[] data = new int[5]; data[0] = 5; data[1] = 4; data[2] = 3; data[3] = 2; data[4] = 1; // System.out.printlnによる各要素の表示 System.out.println(data[0]); System.out.println(data[1]); System.out.println(data[2]); System.out.println(data[3]); System.out.println(data[4]);
Swiftにおける1次元配列の各要素の参照
var data: [Int] = [] data.append(5) data.append(4) data.append(3) data.append(2) data.append(1) // printによる各要素の表示 print(data[0]) print(data[1]) print(data[2]) print(data[3]) print(data[4])
1次元配列の宣言と初期化
配列は、通常の変数と同様に、宣言と同時に初期化をすることができます。
書式は以下の通りです。この場合はキーワード new と要素数を省略することができます。要素数は、初期値として代入する値の数で決まります。
型名[] 変数名 = {値1, 値2, ..., 値n};
以下に宣言と初期化を同時に行う例を示します。この例は、変数 data を 5, 4, 3, 2, 1 の5個の値で初期化します。
C#における変数の宣言と初期化
int[] data = { 5,4,3,2,1 };
VB.NETにおける変数の宣言と初期化
Dim Data() As Integer = {5, 4, 3, 2, 1}
Javaにおける変数の宣言と初期化
int[] data = { 5,4,3,2,1 };
Swiftにおける変数の宣言と初期化
var data: [Int] = [5, 4, 3, 2, 1]
型推論による1次元配列の宣言
変数と同様に、配列も型推論による宣言をすることができます。
書式を以下に示します。型推論による宣言では new キーワードが必要です。
var data = new[]{ 値1,値2,...,値n };
C#における型推論を使用した1次元配列の宣言
var data = new[]{ 5,4,3,2,1 };
VB.NETにおける型推論を使用した1次元配列の宣言
Dim Data() = {5, 4, 3, 2, 1}
Javaにおける型推論を使用した1次元配列の宣言
※Javaでは型推論による配列の宣言はできません。
Swiftにおける型推論を使用した1次元配列の宣言
var data = [5, 4, 3, 2, 1]
次回予定
次回は多次元配列について説明します。
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